極限状態の果てに見る景色と歓喜に憧れをいだきつつ、死と隣り合わせの挑戦を続け、世界の頂を制覇した日本人がいます。写真家・石川直樹さんです。
石川直樹さんの挑戦とは?予想はつくけど「14座」の「座」ってなに?外国語でなんて言う?
この挑戦を始めた年齢とその期間、制覇の年齢は何歳なのか?
世界の頂へつぎつぎと挑む彼の姿は、下界の生活に慣れきってしまっているものにとっては晴々しくも果てしなく困難で遠くにあるような気がしますが、少しでも共感のおすそ分けをいただき身近で素朴な疑問の解決ができたら‥と思います!
14座とは何だろう?
もうご存知だとは思うのですが確認で。
地球上に存在する、8000m以上の『お山』が14あるということですね。日本でいう「百名山」的な。
『8,000m峰14座』という言い方が山岳界では一般的です。
最高峰は “エべレスト 8,848 m” 。「世界の屋根」と言う言葉を聞いたことがあることでしょう。
この「世界の屋根」は世界の色々なところに点在しているのではなく、14座すべてはヒマラヤ山脈とカラコルム山脈にあり、天を突き刺すようにそびえる山々が2つのかたまりで連なっているのです。
あなたは幾つの山を知っていましたか?
「座」って何をかぞえる数え方?
「座」は、山を数える単位のことです。一座(いちざ)、二座(にざ)といった感じに使います。
ちなみに、「峰(ほう)」、「岳(がく)」も山を数えるときに使用する単位ですが、登山における記録として一般的に使われる第一番目は「座」になるようです。
どうして「座」をつかうの?
実は「座」という字の読み方には「ざ」の他に「くら」もあり、「くら」は神さまがお住まいになる場所を指す意味を持ちます。
日本は古来より自然信仰の国であり自然のあらゆるものに神さまが宿るとされ、特に大きな滝や、大きな岩といった、大きくて見た目も厳かなものには特に敬意を込めて「くら」と呼び、崇めたそうです。
山も岩と同じく大きな塊であり、昔の人は山のことも岩と同じく「くら」と呼んだのです。
そうなのです、山は神さまがお住まいになる場所なのです。
山の地名で「○○くら」というのをご存知でしょう。「乗鞍(くら)岳」とか、谷川岳の「一ノ倉(くら)沢」とか、赤い大きな岩のことを「赤鞍(あかくら)」、白くて大きな岩のことを「白鞍(しろくら)」などと呼んだりします。「くら」という呼び方は「座」だけでなく「倉」や「鞍」にも変化していって今の山の呼称に至っているわけです。
また、岩だけでなく大きな塊のことも「座(倉、鞍、くら)」と呼んだので、大きな塊の山は「座(ざ・くら」と呼ぶのに相応しい対象です。ヒマラヤのことも「神々の御座」なんて言ったりもします。
山は神様が宿る神聖な場所と思われてきし、たしかに、大きな塊が見た目にも「神様がどっしりとおすわりになったいる」とイメージと相まって、山のこと「座」で数えるようになったのですね。
日本語では「座」、では英語ではなんて言う?
「山」の英語は言わずと知れた mountain。mountainは基本的に「山」「山岳」「(山ほど)多量」といった意味があります。自然の山の場合、300〜600m以上で山頂がとがった形状をしているもののことを指すようです。
山全体を指すときはmountainですが、特定の山を表現するときはmountになります。
Mt.と省略するのですね。
Mt.Everest 「エベレストの山」とか、Mt.Kilimanjaro「キリマンジャロの山」とかですね。
更に高い部分をイメージすると…
「山頂」「峰」「(山頂のとがった)山」に対しては peak を使うのだそうです。
山の一部分をである山頂を指すこともあれば、山頂のとがった山全体を指して使うこともあって曖昧さは在るのですが、登山でいう「世界の14座」の場合は、「14 peaks of the world」になるようです。
初めの挑戦
石川直樹さんは2001年に23歳でエベレストに登頂しました。当時の7大陸最高峰登頂の最年少記録を更新。単なる比較としての”最年少”ではなく、実際にとてもお若い時に登頂成功したのですね。
エベレストを皮切りに写真家として活躍しながら、
10年後の2011年に2度目のエベレスト
2012年(2)マナスル
2013年(3)ローツェ
2014年(4)マカルーと登り続け、
2019年(5)ガッシャーブルムⅡ峰
2022年には(6)ダウラギリ、(7)カンチェンジュンガ、(8)K2、(9)ブロードピークに登頂。
昨年2023年は(10)アンナプルナ、(11)ナンガパルバット、(12)ガッシャーブルムⅠ峰、(12)チョオユー登頂を成功させ、制覇まで近づいていました。
マナスルには2012年に登っていましたが、最高地点の世界認定が見直されたため、22年に再度登っていたり、最後のいただきとなったシシャパンマには昨年2023年にも挑んだものの、雪崩などで断念して今回とうとう悲願を達成しました。
何年間かかった?
‥ということで、石川直樹さんの14座登頂制覇への道のりは、2001年〜2024年の23年間となります。
今の年齢は?
登り始めた年齢が23歳。23年の歳月をかけた今の年齢は46歳!
なんともお若い「サミッター」(世界14座を制覇した人のこと)です。
石川直樹さんの5日後に、もう一人制覇した方がいます・・
実はもうひとかた世界の14座を制覇した方がいます。
看護師登山家の渡邊直子さんです!折しも石川直樹さんの5日後の2024年10月9日。この同じ月に日本人登山家が二人も世界の14座を制覇したなんて、快挙の極みですね!!どうもありがとうございます。
ちなみに渡邊さんは更にお若い42歳とのことです。
まとめ
「なぜあなたは山に登るのか?」との問の返答に「山がそこにあるから」ということばはよく聞きます。しかし、「あるから」だけでは済まない困難や生死をかけた挑戦を続ける人たちは間違いなく存在しています。世界の神の座する頂へ何度もなんども足を運ぶ彼らは、もしかしたらやっぱり「在るから」挑戦し続けているのかもしれないなぁ‥なんて、私も彼らに憧れてしまいます。
ほんとうに、お二人ともご無事に達成できてよかったです。
これからも、多くの登山家が挑戦を続けるだろうことを思うと、皆さんの安全と無事の帰還を祈らずにはいられません。14座制覇おめでとうございます。ありがとうございました。
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